ジャイロゼッター「ヴェルファイア」編


「超速変形ジャイロゼッター」という筐体ゲームをご存知でしょうか?

スクウェア・エニックスによる、車がロボットに変形してバトルするトレーディングカードアーケードゲームです。実在するメーカーの自動車をモチーフにしているということで、とても話題となりました。

ジャイロゼッターで遊ぶかっこいいお兄さん

 

2012年6月~2014年2月まで全国のアミューズメント施設にて稼働していました。アニメや、コミック、玩具などマルチメディアに展開されていたので名前だけでも知ってるという方もいらっしゃるのではないかと思います。

お嬢さん達も夢中です。

 

 

ゲーム内に登場する「ジャイロゼッター」と呼ばれる変形ロボットは、石垣純哉氏を筆頭に、河森正治氏、海老川兼武氏、森木 靖泰氏などの多くの高名なメカデザイナーによって生み出されました。

そんな中、スクウェア・エニックスさんからお声がけいただき、私もジャイロゼッターデザインの列に加えていただくことになりました。

すでに稼働終了して1年以上がたちますが、「ジャイロゼッター」は、今でもファンの心に残っているすばらしいゲームだと思います。今後も何らかの形で復活することを願い、スクエニさんの了承をいただいた上で、これまで日の目を見ることがなかった、私が担当したジャイロゼッターの設定画を少しずつアップしていこうと思います。

最初にデザインしたのはこちら。

ジャイロゼッター「ヴェルファイア」。モチーフは、TOYOTA自動車のヴェルファイア2.4Zです。

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発注を受けた時点で、初期ラインナップのデザインはすでに完了していたようです。それらを参考にしつつ作業したおかげで、「ジャイロゼッターらしさ」の模索には特に悩みませんでした。それだけ諸先輩方のデザインの完成度が高かったのだと思います。

ゲーム用の3Dモデリングで動かすロボットデザインは初体験だったので、スタッフさんに色々確認しながら作業を進めました。

  • 間接部分は近年のガンプラのようにちゃんと可動して、できるだけ自由度が効くような構造に。
  • 手足は動作モーションを意識して、形状だけで動きのメリハリが表現できるようなデザインに。
  • 過剰なディテールは潰れてしまうだけなので抑え気味にして、シルエットだけでその個性が伝わるようにする。

これらがジャイロゼッターをデザインする上で、自分なりに心がけていた大前提の要素です。

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軍人型ロボットというコンセプトから、屈強で重装甲な突撃兵をイメージしています。実車のヴェルファイアがやや無骨な印象なので、自然とマッシブな体型にまとまっていきました。ライバードやGT-Rなどの主役メカより目立ってはいけないと、過剰な装飾や鋭角さを抑えていたら、本当に地味目なデザインになりましたが、それはそれで渋くてかっこいい脇役メカの仕事はできたな、と思っております。

かなり線がラフなのですが・・・「3Dスタッフが構造理解できれば十分」とのことで、速度優先でまとめていきました。その時は、企画のスケジュールが相当タイトだったようです。

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ヴァルファイアの武装。三連発の大型砲とシールド、手榴弾は発注にありましたが、膝から射出されるアーミーナイフは勝手に織り込みました。ゲームの中でも使用してくれて、とても嬉しかったです。

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どう見てもランドセルの裏側なんて映像化されないだろうとわかっていましたが、ついついこういう構造的なところまで考えてしまいます。いずれプラモデル化してくれたらいいのにな・・・という思いが透けて見えて、当時の自分がかわいらしく感じます。それでも、のちのち3Dスタッフさんから「見えないところの情報量が増えた方がモデリングする時にとても参考になる」と言われて、無駄ではなかったんだと嬉しくなった思い出があります。

3Dモデリングされたヴェルファイアはこちら

こちらからはデザイン完成までのラフスケッチです。どのような経緯で現在のデザインにまとまったのか、何かの参考になれば幸いです。

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こちらは第二稿目ぐらいの段階です。

兵隊型とのことで、緑色にしてイメージ固めをしていました。本来、ほとんどのジャイロゼッターは実車に準拠したカラーリングですが、この緑カラーは実際の商品ラインナップにありません。ラフ段階ではこういった遊び心を持ちつつ、担当さんとあーだこーだ意見を交わしながらデザインをまとめていきます。ここで、頭部をヘルメット型にして、全体の線をもっと減らす指示を受けました。3Dモデリングの専門家からの指導ですので、この期間はとても勉強になりました。

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武装も、ギミック含めて色々と提案した名残があります。担当さんからアイデアをいただいたり、こちらから提案したりのキャッチボールは本当に楽しかったです。

最初にデザインしたジャイロゼッターなだけあって、このヴェルファイアにはとても愛着があります。

ヴェルファイアが大好きだと言ってくれるファンの方から、カードにサインをお願いされたときはとても光栄でした。また、秋葉原のゲームセンターで出会ったお兄さんがヴェルファイア使いだったのですが、「マイカーもヴェルファイアなんです」と聞いたとき、そういう楽しみ方もあるのかと感心していました。

子供だけでなく、車を購入できるような大人の方まで楽しめるジャイロゼッターは本当に魅力的なゲームなんだなと、今でも当時の賑やかな大会の雰囲気を思い出します。

アニメのジャイロゼッター第12話にも、エルグランド、ビアンテと共にヴェルファイア(白)が登場しました。ランドセルにスリングされたバズーカがイカしていました!

そして残念な結果に・・・(TT

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