ジャイロゼッター「ゴブリ」編


ロボットアニメに必要不可欠な存在、それが「ヤラレメカ」です。

もっぱら敵の組織に作られた主人公の敵役。不特定多数で出現して、主人公メカの前に立ちふさがる脅威となります。そして彼らを苦しめる。・・・のもストーリー序盤のみ。その後は、主人公が強くなっていくのに反して、相対的に弱体化の道を辿る哀れなヤラレメカ。ガンダムで言えば量産型ザクであり、仮面ライダーで言えばショッカー戦闘員にあたる存在です。

HGUC 1/144 MS-06 量産型ザク (機動戦士ガンダム)

しかし、弱い弱いと言われながらも、彼らがいなければ主人公側の強さも引き立たないわけで。いわば、その世界観における「強さ」のバロメーターの最小単位ともいえます。ヤラレメカをデザインすることは、その物語の「強さの基礎」を作り出すといっても過言ではない重要なお仕事。まさにメカデザイナー冥利につきるのではないかと思います。

 

ロボットアニメ『超速変形ジャイロゼッター』で、そのヤラレメカをデザインする機会に恵まれました。

 

 太陽の牙ダグラム COMBAT ARMORS MAX02 1/72 scale ソルティックH8 ラウンドフェイサー (1/72スケール ABS&PS&PE組み立て式プラスチックモデル) ROBOT魂 聖戦士ダンバイン [SIDE AB] ドラムロ 約130mm PVC&ABS製 塗装済み可動フィギュア 1/1 ダンボール戦機 LBX 002 デクー ROBOT魂 新機動戦記ガンダムW [SIDE MS] リーオー (宇宙用モスグリーン) 約125mm ABS&PVC製 塗装済み可動フィギュア

印象に残ってるヤラレメカのみなさん

 それが、悪の秘密結社「ゼノン」の量産型ジャイロゼッターであるヤラレメカの「ゴブリ」です。

デザイン自体は、第0弾稼働から半年前。第2弾のアクセラセダンと同時期ぐらい。その際は、アニメ用の敵組織の雑魚メカとしてのデザイン依頼でした。ゲームに登場するかどうか当時は未定だったはずです。最終的に筐体ゲームに登場することになりますが、かなり遅く、まさに終盤の新2弾からの登場となります。

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その時期、「シリーズ物のメカデザイナー」というキャリアは「ジャイロゼッター」が初めてなわけですから、まさか「量産型の悪のヤラレメカ」をデザインできるだなんて思ってもみませんでした。いわば「ザク」みたいなものをデザインできるわけなので、非常に緊張した思い出があります。

敵側のボスがモンスターモチーフということで、ジャイロゼッターに登場するザコ系メカは、RPGで定番のザコモンスターがモチーフでした。バリエーション展開も見越して、汎用タイプは「ゴブリン」モチーフ、後に重量級タイプも控えているとのこと。ファンタジーRPGの老舗であるスクウェアエニックスさんらしい発想だなと感じました。

 

ニンテンドー3DSゲーム・RPG『超速変形ジャイロゼッター アルバロスの翼』では、それこそさまざまなバリエーションで無数に登場してくれます。こちらのジャンプフェスタで公開された神風動画さんによるプロモーションムービーが熱いです。特に二人の主人公機に群がるゴブリの大群が見もの。

 

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様々な作品に登場するゴブリンのイメージを、自分なりに噛み砕いた結果。「悪そうで可愛い」をコンセプトとしました。一つ目(モノアイ)仕様は担当さんからの指定で、個人的には「いいのかなぁ(^^;;」とは感じていましたが、できるだけガンダムのザクに見えないようにモノアイ周りのデザインをあの手この手で似せないように調整しております。印象としてはゴブリンの大きな口に見えるようなデザイン誘導を施してあります。

トゲトゲや装飾模様でファンタジー風でありながらも、メカニック的で工業製品らしさを出すために、胸と下腕のディテールに謎めいたカクカクした模様をデザインしました。そのあたりのバランス取りがゴブリデザインのキモです。

胸部装甲の内側に、むき出しの肋骨構造を入れて、少々ゾンビらしい印象を隠し味で入れています。これはゼノンの量産型ジャイロゼッターの共通した特徴となりました。

 

合わせて、カーモードもオリジナルでデザイン。「某社」のさる車種のコンセプトカーがモチーフですが・・・かなりギリギリを攻めたデザインをしております(^^;。車好きなら言わずもがななんですが、車種は推して知るべしといったところですw

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フロントグリルをロボットの胸デザインと合わせているのは羅武流と同じです。車の後部に、ロボットの顔の意匠を盛り込むアイデアは、その後の敵ヤラレメカシリーズ共通の特徴としました。カーチェイスや、ゲームでのバトルの際、後部はユーザーが一番見る箇所ですのでわかりやすい特徴を入れておくのは効果的です。

 

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武装のメイスと盾の画稿。ファンタジーチックですが、工業的なディテールを加えて近未来の兵器らしさを加味しています。

 

『アルバロスの翼』に登場するゴブリバリエーションの一つ「エアロゴブリ」のマシンモードもデザインしました。リアウィング等エアロパーツを装着して速そうなスタイリングになっております。

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アニメーションでは、トーマ専用機として黒色のゴブリ・エースが登場。「アルバロスの翼」では、RPGのモンスターよろしく、上記の「エアロゴブリ」以外に属性ごとの特徴を持った「アイスゴブリ」「マグマゴブリ」「ゴブリゾンビ」等のヴァリエーション機が登場しました。

3Dモデリングされたゴブリはこちら。

 

こちらは「ゴブリ」のラフ画稿です。

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Aの時点でシルエットはほぼできあがっていますが、それに付随してバリエーション化した場合のパターンも追記しています。Bは武装パターン。Cは外骨格による強化形態案。方法論がマニアックすぎて子供には伝わらないだろうとBとC案は没に。とは言っても、Bのイメージは後に「ゴイル」に。Cのイメージは 「ギガロ」に生かされます。

 

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「ゴブリン」といっても世界でさまざまなイメージがあるので、鼻の尖ったタイプでファンタジー寄りのスタイルも比較用として提出していました。結局、丸っこいスタイルが愛嬌があって良いとなり、上記のAタイプでまとめていくことになります。

 

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第二稿目の「ゴブリ」。まだ二つ目です。全体的に曲面を多用しているのでファンタジー風味が強いですね。カーモードもまだ模索中で、ファンタジー寄りな物を提案しておりました。

ここから工業製品的な要素と、一つ目の要素を入れ込みことで決定稿となります。

 TVアニメーションは、手描きではなくゲームと同じように3Dモデリングによるものでした。第一話を観た時の感動は今でも覚えております。

悪の組織が使用するロボットではあるけれど、コミカルでどことなくかわいらしいゴブリの動きがとても印象的でした。自分のデザインしたロボットが、テレビの中で動き回る姿を見て、ゲーム筐体で受けたものとはまた違った感動があります。

しかも、フリーランスになって「アニメロボットのメカデザインをする!」という目標が達成された瞬間でもありました(^^

 

・・・で冷静に考えてみれば、そもそも「超速変形ジャイロゼッター」自体がマルチメディア戦略なシリーズだったわけで。

「筐体ゲームのロボットデザインをする!」

「漫画のロボットデザインをする!」

「カードゲームのロボットデザインをする!」

「携帯ゲームソフトのロボットデザインをする!」

・・・も同時に実現できてしまったので、すごい時代に生きてるなーとも感じました(^^

 

 

 

 

そしていつか主役ロボットのメカデザインをやってみたいなーと囁かに夢見ています